興味がわく歯列矯正

タレントはみんな小さな顔をしています。
顔が小さいことは若い人や子どもたちに共通しており、私が矯正医になった25年前に比べると、日本人の顔もずいぶん変わったものだと思います。以前のような4角いえらの張った顔は少なく、鼻から下が細い小さなあごになっています。
その小さな口の中に28本の歯がところ狭しと並んでいる。いったいなぜ、子どもたちのあごはこんなに小さくなってしまったのでしょうか。
そのいちばんの原因は、食生活にあります。離乳食を終え、自分でかんで食べられる年齢になっても、これでは固いものがよくかめなくなってしまいます。
それに拍車をかけるように、食卓に軟らかい食べ物ばかり並んでいれば、子どもたちのあごが発達しないのも道理です。現代の食生活の最たる弊害です。
このようにあごが小さいのは、昔の人たちは、親不知まで含めて32本の歯が全部並ぶ、広い咬合平面(上下の歯がかみ合う面)をもっていました。これだけでも、いかにあごが大きくしっかりしているかわかります。
ところが現代っ子は、小さいあごの中に、歯の数は昔と変わらず32本生えできます。最近は親不知が生えてこない子どももいますが、そういう子どもでも少なくとも28本は生えてきます。

小さくなったあごに、昔と同じ大きさの歯が同じ数だけ生えてくれば、当然歯は重なったり倒れたり、歯列からはずれて生えるようにまたなります。口の中が狭いと舌が口の中におさまらず、上下の歯のあいだから出ていたり、前歯を内側から押したりします。
これが開咬や上顎前突の原因をさらに助長するひとつにもなります。さて、歯並びの異常は、歯の生える順序(萌出順序)とも無関係ではありません。
順序は遺伝子によって子どももだいたいそろってきます。乳歯は生後6カ月くらいから生え始め、3歳ぐらいには生えそろいます。
この乳歯が永久歯に生え、6歳から11歳の時期です。
永久歯は、前から@中切歯、A側切歯(以上犬歯、C第一小臼歯、D第二小臼歯、E第一大臼歯、F第二大臼歯、B第3大臼歯(親不知)この生える順序は、上あごと下あごで少し違います。
上あごは@第一大臼歯、A中切歯、B側切歯、C第一小臼歯、D第二小臼歯、E犬歯、F第二大臼歯、B第3大臼歯の順であるのに対下あごは@第一大臼歯、A中切歯し、(また逆)、第一小臼歯、D第二小臼歯、F第二大臼歯、B第3一大臼歯の順です。
これを見て気がつくのは、上下とも最初に生えるのは第一大臼歯か中切歯だということです。
中切歯は正面に生えてくる歯で、食べ物をかみきるのに欠かせない歯です。そしてこの2本は歯のなかでもとくに大事な歯だということでしょう。
しかし第一大臼歯が大事なのは、食べ物をすりつぶすからだけではありません。次に生えてくる歯のガイド役として、かみ合わせをつくる要になるのです。
この歯があるべき位置にまっすぐ生えれば、そのあとから生えてくるほかの歯も傾かずにまっすぐ生えてきます。そうなれば、よりよいかみ合わせのできるきれいな歯並びになるのです。
第一大臼歯は6歳ごろに生えるので、『6歳臼歯』と呼ばれています。この歯だけ名前それだけ大事な役割があり、ほかの歯と区別されているからでしょう。
歯並びを崩すあごと歯の成長のアンバランスむしろ曲がったり傾いたりして生えています。ほとんどの子どもが、なぜ6歳臼歯はまっすぐに生えてこないのでしょうか。

それは、歯が生える時期に、あごの成長が十分ではないからです。子どもが健康に成長していれば、年齢に応じてあごの骨が成長し、それに合わせて歯も生えてきます。
乳歯が生えそろうころには、それに合った大きさのあごになり、永久歯が生えそろうころ、歯が十分並ぶ大きさのあごに成長しています。たとえば乳歯が20本生えそろうのは3歳ころですが、乳歯が生えそろってもあごの骨は成長を続けています。
そこで乳歯のあいだにすき間ができ、すきっ歯になります。あごの成長が遅れて、6歳臼歯が生えるときにあごに奥行きがないと、6歳臼歯は傾いたまま生えてきます。
これが歯並びを悪くするきっかけになります。簡単に説明しておきましょう。
乳臼歯の歯根は、永久歯と違って平らで下が広がった形をしています。この中に、次に生える永久歯の芽ができています。
永久歯が乳歯の歯根の中に乳歯の歯根は永久歯に吸収される形でなくなり、下から押されるようにポロッと抜けます。そして永久歯が顔を出すのです。
あごが小さい状態で6歳臼歯が生えてくると、その前に並んで生えている第二乳臼歯を圧迫します。乳臼歯の根っこは押され、その下から生えてくる、水久歯(第二小臼歯)も押されて傾きながら生えてきます。
この影響を前の歯が順に受け、歯並びが乱れてくるのです。このようにあごの骨の成長と歯の発育の足並みがそろっていないことが、大きな原因になります。
歯は、ある年齢がくれば自然に生え変わります。ところが骨の成長は、そういうわけにはいきません。

環境などにより、個人差が大きいのです。たとえば母乳で育った子どもと哺乳瓶で育った子どもでは、乳歯が生える段階ですでにあごの大きさが違っていることがあります。
さらにその後の食生活に、あごの成長は影響を受けます。軟らかいものばかり食べていれば骨は鍛えられませんし、カルシウムの摂取量が少なく、運動をしない子どももあまり発達しません。
つまり、環境や食生活に大きく左右されるのです。こういう子どもは、6歳になっても本来必要なあごの大きさを確保できず、6歳臼歯がやっと生えるような狭い口腔のまま、永久歯への生え変わり時期を迎えてしまいます。
成長しないために、第一大臼歯の後ろに生えてくる第二大臼歯や第3大臼歯(親不知)の生えてくるスペースがなくなってしまいます。そこで第二大臼歯や第3大臼歯は倒れたり新たな歯並びの異常をつくるのです。
曲がったりして生えてきて、歯並びをさらに悪くする日常のくせがある。こうしたことに加えて、子どもたちが何気なくしているくせが歯並びをさらに悪くする。
以上がおもな歯並びの異常ですが、ほかにも前歯中央正面中切歯のあいだにすき間ができる「正中離開」や、上の歯が下の歯に深くかぶさる「過蓋咬合ディープバイト」などがあります。顎関節の機能、あごの動き、歯の接触のしかたなどで診断・分類します。
しかしここではみなさんにもわかりやすく、表に出た症状で歯並びの異常を分類しました。下顎前突…出っ歯とは逆に下のあごや歯が前に出た状態で、受け口のことです。

通常のかみ合わせと反対になる「反対咬合」も、下顎前突に入ります。叢生…八重歯や乱ぐい歯のように、歯が傾いたり歯列からはずれてガタガタに生えています。
不定愁訴の原因は歯並びにあった。患者さんも、その目的はほとんどが歯並びの矯正です。
しかしこれまで25年間、大勢の患者さんを診察していて気がついたことは、歯並びの悪い患者さんの多くが、何かしら体の不調を抱えていることです。その不調はさまざまですが、いちばん多いのは腰痛や肩こりでしょう。
めまいや耳鳴り、頭痛を訴える人もいますし、手足のしびれやひざの痛みもあります。女性であれば生理不順や生理痛に悩んでいる人もかなりの数にのぼります。
症状は一つとはかぎりません。2つも3つも抱えている人もいますし、複数の症状が時を変えて出てくる人もいます。

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